映画 「皇帝ペンギン」
詩だ。
予告編を観た時から今にも子供みたいに泣き出しそうな自分を感じていた。
心に触れるとかでなく、もっと深いところで内臓がひっくり返るようなお腹にズキュンとくる感覚を覚え、観るのを楽しみにしていたというよりも、怖いもの見たさに近いみたいな不思議な気持ちをかかえて映画館に向かった。
崇高な儀式を観たようだ。 映画は営巣地に向かう皇帝ペンギンの行進から始まる。 魔法のように毎年同じ日に集まるのだそうだ。 映像はもちろんこと、ペンギン達が美しい。 すばらしいファッションを身に着けている。 頬の黄色もすばらしい自然のデザインだと思う。 陸での動きはドタッと転んだり歩き方は笑いをこらえるのが大変なほどコミカルだけれど、水中ではスピーディーでエネルギッシュで優雅だ。
ペンギンは鳥なのかなぁ?と思わせる。 なんだか人間の仲間みたいに見える。 違うのは集団で助け合うところ。
父親達(あえてオスとしない)は4ヶ月何も食べず卵を孵す。 産卵で体力消耗した母親達(あえてメスとしない)は20日間かけて営巣地から海までエサを取りに行く。 体力を取り戻し雛が孵る頃にぴったり帰って来る。 母親が戻らないヒナはエサがない。過酷だ。 父親達は13キロくらい痩せて飢えているからすぐに海に向かう。 海にたどり着くまでに毎年たくさん犠牲が出るらしい。 過酷だ。 苦行、試練という言葉とは違う命懸けの儀式。
生殖とは儀式か? 快楽とは無縁の営み。 動物界はなんてシンプルなんだろう。
人間のお母さん!お父さん!子供達に観せて欲しい。
日本語吹替えもいいだろうけれど字幕で。 詩の朗読のような音楽的な父親と母親のナレーション、フランス語の響き。 きっと記憶のどこかに残ると思う。 そして大人達にも観て欲しい。
この映画を撮った人達に深く感謝します。
携帯から
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