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02/02/2006

映画 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」

休みだというのに雨の中を映画を観に渋谷まで出かけた。 せっかくのレディースデイなのにやめようかと思うくらい雨は本気で降っていた。 外は寒かったが映画を観終わって帰るころには雨も上がりコートもマフラーもいらないくらい温度が上がった感じだ。 春の兆しと思ってよいかな。

出かけて正解だった。  青山真治監督の「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」 かなり気に入ってしまった。  こういうタイプの映画はいい悪いではなく好きか嫌いかだと思う。  最後まで観れない人もいるだろう。  上映途中に大音量になる箇所があると断りの場内アナウンスがあった。  どんな映画があまり知らないまま作家の中原昌也が出演しているので気になり観に行った。 作家としても週刊誌「SPA」連載の「エーガ界に捧ぐ」のファンなのだ。 たまにそりゃないでしょと思う毒舌ぶりだったりするが、単なる映画評論家でない語り口が気に入っている。  映画のことなんかほんの何行しか書いてなかったりする。

 
ウイルスによって死ぬ意志はないのに自殺してしまうレミング病が地球上で流行り、主人公達の音響的轟音演奏が特効薬という内容。  浅野忠信がギタリストでもあったとは知らなかった。  二人の演奏するノイズミュージックは心地いいものだった。  前から中原昌也はどんなミュージシャンなんだろうかと思っていたが、「なんだ仲間じゃん」が第一印象。  私の感覚ではかなりレベル高いと感じた。  映画全体を通して細かい音まで聞き逃せなかった。 冒頭の海のシーンでの波の音ですでに 「これはいい! 好きな映画」 だと予感し、耳は自分も演奏するかのような状態にスィッチオン。 私にとってはカモメの声、自転車をこぐ音や車が走る音、ライターの火を点ける音など、すべてがフリーのインプロヴィゼーションのように聞こえていた。

遠い昔から世の中には様々な音が満ちている。 昔々、車や工場などなく草原の風や雨音などを聞き、作曲家が表した音楽はクラシックを聞けばわかる通りの世界。 時代は進み世の中も様々に変化し、車、鉄道、工場、都会の出現、飛行機、ロケットが飛び、日常は様々な物音、騒音で溢れている。 ノイズミュージックが現れて当然だと思う。 ある意味では最先端であるとも思う。 無意識の世界を表すにもノイズ系の音、映画で言えばSE(音楽でもサウンドエフェクト)の音がマッチするのだ。 聞く者に押し付けるものがない。 誰にでも当てはまる音空間なのだ。 

オヤジ(養父)は昔、ミュージックコンクレートの始まる前に似たようなことをラジオでやっていたそうだ。 スタジオのくず籠から紙くずを取り出してマイクに向けてガサガサという具合に。 家には映画音楽で使ういろんな笛や小道具があった。 そんなのを見たり聞いたりしていたせいで今の私があるんだろうか?

音楽的相棒である加藤崇之も浅野忠信演じる”ミズイ”のような轟音演奏を20年以上前からやっていた。 私もピアノでフリーミュージックに参加しているし、中原昌也演じる”アスハラ”がコンピュータで演奏するような音をシンセとリズムマシンを使いドラムンベース的リズムミックスの上でインプロヴァイズしている。 インナースペースへの旅の気分。  (私の母は晩年に聞いた話では高柳昌之の轟音演奏を聞きに行っていたらしい)                                                                       

常日頃から考えていたことが映画を観ていてまた浮かんだ。  ノイズや轟音は宇宙の音の再現ではないか?  前にボイジャーで録音されたというそれぞれの惑星の音というテープを7、8本持っていた。  今はもうない六本木WAVEで買ったがとても高かった覚えがある。  それがノイズの嵐のような音で妙にリラックスする音だった。  そしてリラックスとはドーンとするものだ、浸かりすぎるとぐったりする温泉での湯上りのような感覚だと感じた。 宇宙の始まりは轟音(爆音? ビックバンだから爆発音?)なのかもしれないと思いながら観ていたら、”ミズイ”のギターソロが始まると同時に地震が起きた。  始めは低音のせいで地響きがしていると思っていた。  席ひとつ隣の男性がなにやらあわてているので気がついた。  かなり揺れていたが私はそのまま演奏を聞いていた。
渋谷駅で震度4だったと知った。

* 「Eli,Eli,Lema Sabachthani?」 とはヘブライ語で「神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや?」   

パンフレットをのぞいてきました。 700円なんて高すぎ!

                                           

                                                                                                  

                                        

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