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02/17/2006

みんなの心に空いた大きな穴

映画「ミュンヘン」のラストシーンに当然のように映っていた世界貿易センタービルの在りし日の姿が目に焼きついている。 ここ数日頭から離れない。 

なぜかと言えば、ひとつには懐かしいのである。 半年暮らしたNYでの日々に、展望台から観た下界の景色、書いた絵葉書にあった姿、屋上から見えた姿を思い出す。 その度に寂しさがあり、思い出したくない光景を記憶の引き出しのひとつにあわててしまい込むという作業を無意識にやる。 最近の映画や雑誌の写真でNYが写っていてもその姿はない。 NYの景色はあの二つのビルも含めて美しかった。 海から撮ったNYの景色のポストカードが好きだった。

映画の新作にツインタワーが出てきたのは、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「華氏911」以外では9・11以後始めてだと思う。 事件を思い出させるものとしてタブーだったかもしれない。 「9.11(セプテンバー・11)」という映画ではビルの影として出ていた。 その影が崩れ落ちて日当たりの悪い部屋に日が差すというシーンだったが、それだけでもインパクトがあった。 すこしずつ9・11の影響と思われる映画が現れ始めた。ゴダール監督の「アワー・ミュージック」 ヴェンダース監督の「ランド・オブ・プレンティ」、名前は忘れたけど※女性監督の「愛をつづる詩」など。 スピルバーグ監督の「宇宙戦争」やピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」にまで影響を感じたりした。 ※サリー・ポッター監督

そして戦争映画というより戦争を考える映画が増えてきた。 9・11のために公開が遅れたという「バッファロー・ソルジャーズ/戦争の始めかた」や「チーム・アメリカ」みたいなパロディ的な映画から、[「カンダハール」、「アララトの聖母」、「亀も空を飛ぶ」、「ヒトラー最期の12日間」、「白バラの祈り/ゾフィー・ショル最期の日々」、「ロード・オブ・ウォー」、「イノセント・ボイス/12歳の戦場」、「ホテル・ルワンダ」、「ジャーヘッド」、そして「ミュンヘン」。 私が観た中から思いつくものを挙げたけれど、これから来る「シリアナ」「グッドナイト&グッドラック」、「フライト93」、「World Trade Center」、まだまだ続々来るらしい。 *「ボブ・ディランの頭の中」も入れておこう。

長く口を閉ざしていた人々が真実を話し始めたこともあるかもしれない。 それを伝える手段としては映画はいい媒体だと思う。 人はみな真実を知りたいのだ。 「ホテル・ルワンダ」がミニシアターで大ヒットしているみたいだが、今までにないことだと思う。 世界中の人が無意識のレベルでは強く平和を願い始めたのではないか? スピルバーグやジョージ・クルーニーのような知名度高い映画人が覚悟のいる作品を作るのもそんな現われではないか? 人々が望まなければできないことだと思う。 それを嗅ぎ分ける鼻と強い意志の持ち主でもあるのだろうが。

「ミュンヘン」のあのラストシーンはテロップが流れているし意味ありげではないのだが、平和を願う気持ちがこもっているように思われるのだ。 日毎にじわじわとそう考えさせられるのだ。 

日本では「男たちの大和」があったが、9・11の影響かどうかはわからない。 

* 日本で観ることができるかどうかわからないが、ゴールデングローブ賞にノミネートされたという「パラダイス・ナウ」、ハニ・アブ・アサド監督はイスラエルのナザレ生まれ、「パレスチナ映画」と呼ばれ幼馴染のふたりの若者が自爆テロに向かう48時間を描いているという。 政治的視点からははずれて観たいなと思う。 作る側もそうではないか? 映画はあくまでアートだ。 文学と同じではないだろうか。 

                                          

 

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Comments

TBありがとうごさいました。
こちらからは、2記事からTB返させてもらいました。
どちらも『ミュンヘン』についての記事ですが、ひとつはラストシーンについても言及したものです。
平和への祈り、人類が少しでもそこへ近づけるよう願うばかりですね。

Posted by: ryodda | 02/27/2006 at 12:34 PM

TB有難うございます
こちらの記事も興味深く拝見しました。
hideもこれからの映画の持つメッセージ性をくみ取りながら楽しみたいと思います(特に戦争を考える映画)
「パラダイス・ナウ」・・・報復の連鎖のパレスチナ側から見た映画でしょうか?検索をしていき公式HP?の予告編でそんな印象を持ちました
日本公開が待たれます

Posted by: hide | 02/26/2006 at 02:18 PM

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