映画 「GiNGA / ジンガ」
もうすぐ来る「ナイロビの蜂」の公開が楽しみなフェルナンド・メイレレス監督プロデュースのドキュメンタリー映画「GiNGA / The Soul of brasilian football」を観た。
サッカーをやる人でなくともミュージシャンが観ても為になる映画だ。 サントラは今のブラジルの若者達に人気だという音楽で彩られていたが、サンバからサンバファンク、エレクトロミュージック(ドラムンベース、ブレイクビーツなど)とリズムが細分化しているんだなと思った。 スピードある競技のバックにボサノバってことはないか。
ブラジル人は、誰もがジンガを持っているという。 ジンガとは何か?
カポエイラ(アフリカをルーツとする格闘技)の基本動作のひとつの軽い身のこなし方のことなのだそうだ。 ポルトガル語では「腰を振って歩く様子、体が揺れる」という意味。 つま先、かかと、腰を使ってサンバを踊るように体を揺らす。 映画を観ているとジンガがその身のこなし方だけでなくブラジル人の心の糧、よりどころ、価値観のように思える。 ジンガがあるからサンバを踊れて、サッカーやカポエイラの身のこなしもうまうできるとも思える。 猫の身のこなし方を真似たと聞いたことがある。 「キャットウーマン」に出演するハル・ベリーがブラジルのカポエイラという格闘技を映画出演のために特訓したということから、猫好きの私はカポエイラに興味を持った。
私はいつも、音楽をやる時には緊張していても体はリラックスしてというのが理想の状態だと思っているが、格闘技でもサッカーでも同じかもしれない。 映画の中でブラジル代表のロビーニョがフットサルの監督から「プレーするだけでなくサンバを踊れと教わった」と言っていた。 入団テストのサッカーチームの人が「音楽的リズム感を生まれつき持っている子がいて、サッカーにもそのリズム感が大事」だと言っていた。
普段気づかないが歩くことにはバランスが大事だ。 音楽をやっていても同じ。 精神的にも生きていくことにも大事だ。 リズミカルに軽やかに生きればいいってことか?
カポエイラを子供たちに教え始めた青年が「ジンガを止めるなということは、時間を無駄にするなということ」だと叔父さんに教わったと言っていた。 身体を揺らし続けるということはパルスのようだ。 パルスは1ビート、サンバを踊るということは2ビート。 細かく身体を揺すっていると1ビートに感じてくる。 すべてのリズムも元は1ビートなどと思い巡らす。
深い言葉だ。 これだ!と一言では説明できない言葉のようだ。 そういう意味では「サウダージ」と同じだと思う。 また好きな言葉が増えた。 ジンガしよう!
※映画チラシにあった「ジンガ10箇条」
①ジンガとは、身体を揺らす動きだ。 ②ジンガとは、素早い足さばきで相手をかわすフェイントだ。 ③ジンガとは、カポエイラの基本動作だ。 ④ジンガとは、日常生活の中に常に存在している。 ⑤ジンガとは、音楽と共にあるライフスタイルだ。 ⑥ジンガとは、ブラジル人の魂そのものだ。 ⑦ジンガとは、ブラジル人に夢を与える。 ⑧ジンガとは、苦境を気楽に生きるための手段だ。 ⑨ブラジル人は、生まれた時からジンガを持っている。 ⑩ジンガは、望むもの全てに与えられる。
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Comments
先日、ロナウジーニョの私生活をテレビで初めてみました。
その中で、一番びっくりしたのは、彼が歌ったシーンです。
彼の歌うサンバと、自然にたたくパンディーロは私にとって絶品でした。
ほんとに自然な宇宙回転だったのです! 音もリズムも体の一部で、
彼のサッカーもそうなのでしょう。
そんな翌日、シューミーさんの日記で
「ジンガ」というものを知ったので、凄く納得しました。。。
Posted by: はちや福中 | 05/05/2006 02:42 PM