映画 「武士の一分」
「映画の日」に、金曜だったせいもありその日に合わせて封切られた2本を観た。
そのうちの1本は山田洋次監督の「武士の一分」。
監督の 「たそがれ清兵衞」 が好きだったので 「隠し剣鬼の爪」 に続く三部作となるこの作品も楽しみにしていた。 寅さんシリーズで庶民の生活や人情をそして日本の風土を美しく描いてきた監督の時代劇は、下級武士の質素でつましい生活と分を描いていると思う。
「一分」 とは 「譲れないもの」 なんだそうだが、「分」 と思い浮かんだので携帯の辞書機能から引いてみた。
【分・ぶん】 集団の中での能力・地位。 分際。 本来なすべきつとめ。 ある特定の状況。 割り当て。 それくらいの程度。 ある種類に属するもの。
[例] 分割 ・ 分量 ・ 気分 ・ 自分 ・ 性分 ・ 配分 ・ 部分 ・ 兄弟分 ・ 分に安んずる・ 分をわきまえる。
下級武士としてつましく分をわきまえて暮らしている中で、これだけは手放せない誰にも渡せない心の糧を譲れないものというのかもしれない。 プライドとは少し違う気がする。 ささやかな心のサンクチュアリ(聖域)かな? もしそれを奪われたら?
山形県鶴岡庄内藩がモデルだという○○藩の御毒味役のひとりに木村拓哉。予告編ですでに驚いていたのだけど、方言の身につき方がすごいんじゃないかな? 知らないながらもぴったりな気がした。
私は 「~でがんす」 という語尾が 「たそがれ清兵衞」 以来好きだし、気に入って今回覚えたのは 「~ではありましね」 「~ださけ」。
キムタクの武士は素晴らしかった。 元々時代劇やるといいのになとは思っていたけれど、超が付くくらいはまり役だと思う。 姿勢はいいし凛としている。 そしてかなりな剣の使い手。 剣道やってたのは知っていたけれど、やってた人がみんな剣豪とは限らない。 師範役の緒方拳や敵役の歌舞伎役者、板東三津五郎より使い手だと思った。 庭で木刀を振り回す場面などは「おーっ」と声を出しそうになり息を止めて見入ってしまった。
「僕だったら~」 と考え抜いたんじゃないかというくらい能動的でありながら自然な役に成りきり方だと思った。 あの眼力 (めぢから) を伏せていても見えない眼に力があった。 キムタクのアドリブなんでは? と思われるようなジョークみたいな台詞も緊張感を損なうことなく笑いを誘っていた。 やっぱり只者ではないなぁ。
役者がみんなよかった。 特に中間役の役者がすごくよかった。 木村拓哉にはこれからもっともっと時代劇をやって欲しいな。
私の 「一分」 は何だろうか? あなたの 「一分」 は何ですか?
※公開までのチラシ、もう1枚出回っていたけれど・・・ 文鳥のつがいがかわいい。
携帯から (12/7up)
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