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12/03/2006

映画 「ありがとう」

60才という年齢でゴルフのプロテストに合格した古市孝夫 (フルイチ タカオ)さんの実話を映画化したもの。

冒頭で古市さんが阪神大震災で家や仕事、家族以外のすべてを失ったことがわかる。 古市さんはあの火災被害が大きかった長田区で自宅でカメラ店を経営しながら町の消防団員でもあった。
CGで再現した地震の映像と当日の朝のニュース速報とを絡めてあり 起きたことがリアルに蘇る。 みるみる倒れる高速道路、折れた高速から落ちそうになったバス、崩れていくビル、神戸で起こったという事実への驚きとこれが東京だったらという想像と不安が頭の中に押しよせた。恐ろしい。 一瞬でなにもかもがなぎ倒されたのだ。

火がせまる家を捨て逃げる時に古市さんは家族に何があるかわからないから両手を空けておくように指示していた。 大事な物をあれもこれもと探している暇もないのだ。 みんなリュックを背負っていた。 倒れた家の下敷きになった奥さんを迫り来る火の手から助けようとしその場を離れない旦那さんを、「アンタには子供がおるやろ」 と説得し救い出す。 「助けられない人達へ 「ゴメンなぁ、カンニンやで」 と言いながらひとりでも多くの人を救い出そうと前に前に進む。
路地が込入り道が狭くて消防車が入れず消火が間に合わず大惨事になったことを教訓とし、復興再建の話し合いでも区画整理に反対する人達を住みよい街にしようと説得する。
何もかもすべて失ったのに離れた所にあった駐車場の車のトランクにゴルフバックだけが残っていたのだ。 (みんな車のことなど忘れていた) 古市さんは 「奇蹟や!」 と叫ぶ。 家と共に仕事も失った古市さんはその時にプロゴルファーになろうとひらめいたようだ。 家族に 「おまいらくらいワシが食わしてやるわい」 と言ったものの途方に暮れていたはずなのだ。

それから毎日トレーニングを続け、呆れながらも見守るような家族の協力を得て、20代30代に混じって2千人中50人しか合格しないと言うプロテストに見事合格する。
多くの犠牲者を思うと 「生かされている」 「ありがたい」 と痛感した古市さんは合格して「奇蹟や!」 「ありがとう、ありがとう」と泣く。

「生かされている」と感じたことは私にもある。 ありがたいことなのだと思いながらその「生」 を有効に生きているかと問われると 「はい」 と胸を張って言える自信がない。
「あきらめない」 「前向きに」 ということのお手本のようだ。
去年の映画 「シンデレラマン」 のボクサーもすごかったけれど、日本にもこんなオジサンがいたのかとうれしくなった。 喝をいれられた感じだ。
奥さん役の田中好子もよかったが、古市さん役の赤井英和がヤンチャさを秘めていてとてもよかった。 ほんとの古市さんもあんなオジサンなんだろうか? きっと人気者なんだろうなと思う。

確か初日に観たのだがガラガラだった。 阪神大震災の追悼の意味でも、この映画は日本人に観て欲しい。
印象的だったのは、奥尻島で支援してもらったからと神戸までボランティアに来ていた人がいたことと、古市さんがトレーニング中使用していたのは鉄アレイでなく身近なペットボトル、そして町のみんながトレーニングを応援していたことだ。

                                                    

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