わたしは牝のボス猫
最近、縁あって人間と親しくしている。
20代後半のピアノ弾きとギター弾きの夫婦の世話になり愛も分けてもらっている。
わたしはこの辺りのボスの連れ合いだった。 子供たちが産まれる前にボスに先立たれ途方に暮れていたが、以前からなにかと気にかけてくれていたナンバー2が、頼りないが性格のよさで2代目を継ぎ、わたしたちの面倒も見ると言ってくれた。
幸いこの辺りは野良猫に優しい住みやすい地域で食べ物に困ることはないのだが、なかなか満腹とまではいかない。
子供たちはみるみる育ち、わたしはみるみる痩せていった。 そろそろ離乳となる。 わたしも体力をつけなければならない。
女のピアノ弾きは男のギター弾きよりだいたい帰りが遅い。 この夏の異常な暑さもあってか眠れないのか明け方に散歩している姿をよく見かけた。 いい人間みたいだ。 ギター弾きは朝早くから仕事に出て行ったりもするようだ。 優しそうだ。 このふたりならば心が通じるかもしれない。
子供たちや仲間のことも考え、ある夜にふたりの部屋の前でニャーニャー(こんばんは)と声をかけた。 彼女達は玄関を開けてご飯をくれた。 距離もおいてくれる。 安心して来てもよいと仲間たちに伝えた。
こないだはピアノを弾いて歌うという猫の仲間みたいな女がやって来た。 どおりで彼女からは猫の匂いがした。 どうやら猫語がわかるようだ。 目を見ただけで心が通じる気がする。
5匹、6匹と連れて行く日もあるけれど、だいたいひとりでパトロールの合間か夜ピアノ弾きが帰る頃に連れ合いと尋ねる。 昨日は連れ合いと子供たちを連れて行った。
実はわたしたち猫は人間を選んでいる。 わたしたちが選ぶというより夜空の向こうから使命のような光が降ってくる。 必要とされているところに尋ねてゆく。 わたしたちは愛を分けてもらうが、わたしたちも愛を形ではないが返す。
すべての人間に通じるといいなと思う。
わたしたちは次元を超えて愛を届ける能力がある。 いつまでも人間たちを見守っていきたいなと思う。
撮影:H・N & D・K
Comments
自分はネコに選ばれているんだね。うちにいる5匹のネコ達も自分に愛を届けてくれているんだね。野良は生きていくのが大変だろうな・・・。
Posted by: mukako | 10/13/2007 12:30 AM